免疫疾患横断セミナーシリーズ第7回

免疫疾患横断セミナーシリーズ第7回

日本臨床免疫学会が、会員以外の方を対象に企画したセミナーです。
学会員も参加でき、研修認定単位1単位が取得できます。


Human Immunology Priming Seminar
~領域横断的な臨床免疫の特徴を理解しよう~
2026年6月27日(土)13:00~15:50


様々な領域の免疫疾患のエキスパートが、臨床免疫の視点で俯瞰しつつ入門レベルから解説します。
まだ専門分野を決めていない、研修医・専攻医も歓迎です。


 開催形態
完全ウェブ開催
 参加費
無料(学会の単位認定料のみ有料)
 主 催
一般社団法人 日本臨床免疫学会



締切:6月19日(金)17:00

お問合せ先:jsci@icongroup.co.jp



プログラム

13:00 - 15:50 第7回免疫疾患横断セミナー


 司 会 :
藤尾圭志(東京大学大学院医学系研究科 内科学アレルギー・リウマチ学)
松本 功(筑波大学医学医療系 膠原病リウマチアレルギー内科)


13:00-13:10 開会挨拶

 田中良哉(一般社団法人 日本臨床免疫学会 理事長)

13:10-13:45 リウマチ膠原病領域「膠原病における細胞内代謝の病態関与」

 河野 通仁(北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室)

13:45-14:20 皮膚免疫領域「老化から考える自己免疫の病態とその個人差
― 皮膚・免疫・細胞老化の接点」

 高橋岳浩(東北大学病院 皮膚科)

14:20-14:30 休憩

14:30-15:05 生殖免疫領域「生殖免疫の絶妙なバランスー胎児を許容し病原体を排除するー」

 相澤 志保子(日本大学医学部 病態病理学系微生物学分野)

15:05-15:40 感染免疫領域「ファージ療法の実用化に向けて」

 藤本 康介(大阪大学微生物病研究所 微生物制御学分野)

15:40-15:50 閉会挨拶



講師紹介


河野 通仁

河野 通仁

北海道大学大学院医学研究院
免疫・代謝内科学教室

様々な新薬の登場により膠原病の予後は改善してきているが、既存薬では難治例や感染症などの副作用も多く、より病態に即した新規治療薬が望まれています。一方癌領域をはじめ、新たな治療ターゲットとして細胞内代謝が注目されています。細胞内代謝の主要な経路として解糖系、グルタミンなどのアミノ酸代謝、脂肪酸代謝などがあります。近年細胞の種類により、どの代謝経路を好んで利用するかが異なっており、細胞内代謝を制御することで細胞の分化、増殖を変化させうることが明らかとなってきました。分野、臓器を超えて、さらに臨床を基礎と融合させて解決を目指す臨床免疫には夢がたくさんあります。本講演では膠原病における細胞内代謝の役割、ならびに治療応用の可能性についてT細胞を中心に議論したいと思います。

高橋 岳浩

高橋 岳浩

東北大学病院
皮膚科

皮膚は単なる被覆臓器ではなく、免疫応答が最前線で展開される免疫臓器であり、その病変は皮疹としてダイレクトに可視化される。近年のsingle-cell RNA解析や空間トランスクリプトミクスにより、真皮線維芽細胞などのstromal cellと免疫細胞の精緻な相互作用が疾患特異的な免疫回路として可視化されつつある。皮膚科診療では、こうした分子レベルの免疫異常が臨床像の表現型として直接表出し、また、治療介入による免疫再編成を時系列で追える点が大きな強みである。炎症性皮膚疾患などに対するJAK阻害薬や生物学的製剤は単なる治療手段にとどまらず、ヒト疾患における免疫制御機構を検証するトランスレーショナル研究の強力なツールとなっている。皮膚を起点とした臨床免疫学は基礎と臨床を往還しながら、老化、自己免疫、線維化といった普遍的課題に迫る創造的な研究領域であり、その最前線の一端を紹介したい。

相澤 志保子

相澤 志保子

日本大学医学部
病態病理学系微生物学分野

哺乳類(真胎生物)の胎児は母親の子宮内で一定期間発育したのち出生します。胎児は母親にとって、自己ではない他人の遺伝子を半分持った半非自己の生き物です。ヒトの場合、胎児由来の細胞が、母体の子宮筋層に深く浸潤し胎盤を形成しますが、母体の免疫系はこれを許容し、拒絶することはありません。胎児免疫寛容で重要なのは、制御性T細胞(Treg)です。妊娠子宮内では父親の抗原を特異的に認識するTregが増加し、抑制的にはたらきます。また、子宮脱落膜には末梢血中のNK細胞とは異なる機能を持つNK細胞 (dNK細胞)が豊富に存在し、胎盤の形成に重要な母体の血管構築の促進と、胎児細胞への免疫攻撃の抑制をします。しかし、妊娠中に母体に感染したほとんどの病原微生物は胎児に移行することなく、排除されます。胎児胎盤の免疫学的逃避機構は、悪性腫瘍や病原微生物と多くの点で共通しており、臨床免疫学の複合領域における研究が期待されます。

藤本 康介

藤本 康介

大阪大学微生物病研究所
微生物制御学分野

100年以上前に発見されたバクテリオファージ(ファージ)は、当初、細菌感染症に対する有望な治療法として注目されていた。しかし、1928年のペニシリン発見以降、抗菌薬が急速に普及したことで、その存在感は次第に薄れていった。一方、近年の薬剤耐性菌の増加を背景に、ファージ療法は再び注目を集めている。国内においては、ファージ療法はいまだ未承認の治療法であるものの、現在、国内のファージ研究者が連携し、社会実装を目指した取り組みを本格的に開始している。さらに、薬剤耐性菌を含む感染症領域に加え、マイクロバイオーム領域においてもファージ療法の有用性が報告されている。実用化に向けては依然として多くの課題が残されているが、本セミナーを通じてファージ療法の現状を広く共有することで、その実用化の必要性について考える契機となることを期待したい。